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ものづくり技術

実験力学的アプローチによる高分子材料の本質的力学特性の解明

高山 哲生 准教授 タカヤマ テツオ
所属
山形大学 大学院有機材料システム研究科
研究分野
材料力学、機械材料
キーワード
高分子工学、高分子複合材料工学、プラスチック成形加工

高分子実験力学および複合材料工学の最前線において、基礎科学の深化と実用的な応用を両立させた革新的な材料開発を行っています。主な研究領域は以下の通りです。

力学特性の解明と予測 多角的な実験手法(曲げ・引張・衝撃試験等)を用いて構造と物性の相関を解明し、材料設計の指針を得ています。また、熱力学パラメータから弾性係数を予測するモデル構築や、複合材料の性能を左右する「界面」の密着強度を定量化する独自評価法の開発により、開発の効率化と高性能化を推進しています。

SDGsと環境調和型材料 環境負荷低減と高性能を両立する新規複合材料(低粘度・強靭なポリマーブレンドや有機繊維複合材)を開発し、自動車や建築分野への応用を目指しています。

高度リサイクル技術の確立 廃棄自動車からの再生材料の高品質化や、容器包装廃材を高付加価値材料へ転換するアップグレーディング技術の開発に注力しており、資源循環型社会の実現に向けた実用的なソリューションを提供しています


高山 哲生 准教授 タカヤマ テツオ
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研究内容

高分子実験力学

力学実験のポテンシャルを引き出す

高分子材料の力学特性を深く理解するため、様々な実験手法を駆使しています。3点曲げ試験、引張試験、衝撃試験など、多角的なアプローチで材料の挙動を解析しています。これらの実験を通じて、高分子材料の構造-物性の相関を明らかにし、新たな材料設計への指針を得ることを目指しています。

力学特性を他の物性から推定する

高分子材料の力学特性を他の物性から推定する試みは、材料開発の効率化と新たな知見の獲得につながる重要な研究テーマです。当研究室では、熱力学パラメータから高分子材料の弾性係数を予測するモデルの構築を進めています。

高分子複合材料工学

界面力学特性を極める

高分子複合材料の性能を最大限に引き出すためには、マトリックスと強化材の界面における力学特性を理解し、制御することが不可欠です。我々の研究室では、成形品を用いた界面力学特性評価法を開発しており、界面近傍の局所的な力学特性を精密に評価しています。これらの精密測定技術により、界面の接着強度を定量化し、複合材料の巨視的性能との相関を解明することを目指しています。

SDGsを目指した材料開発

持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、環境負荷の低減と高性能を両立する新しい複合材料の開発に取り組んでいます。低粘度で強靭なポリマーブレンドや高分子マトリックスと有機繊維を組み合わせた新規複合材料の研究を進めており、従来の複合材料に匹敵する力学特性を実現することを目指しています。これらの材料は、自動車部品や建築材料など幅広い分野での応用が期待されています。

マテリアルリサイクル

廃棄自動車から高品質材料を開発する

自動車のリサイクルは、資源の有効利用と環境負荷の低減において重要な役割を果たしています。我々の研究室では、廃棄自動車から回収された材料を用いて、高品質な再生材料を開発する研究を進めています。特に、プラスチック部品や複合材料の効率的なリサイクル技術の確立に注力しており、再生材料の物性評価や品質向上のための処理方法の最適化に取り組んでいます。

容器包装廃材のアップグレーディング

容器包装廃材のリサイクルは、環境保護と資源の有効利用の観点から重要な課題となっています。我々の研究室では、使用済みのプラスチック容器などの容器包装廃材を高付加価値材料へとアップグレードする技術の開発に取り組んでいます。特に、未利用廃材を有効活用することで、焼却量を削減しながら廃材から高品質なリサイクル成形品を生み出す研究を進めています。