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ものづくり技術

ロボットテクノロジーで未来を創る

妻木 勇一 教授 ツマキ ユウイチ
所属
山形大学 大学院理工学研究科
研究分野
制御、システム工学
キーワード
バイオロギング、マッコウクジラ、水中ロボット、さくらんぼ、ロボットアーム、農業ロボット

私達は、ロボット工学と機械工学をベースに、主に2つの研究テーマに取り組んでいます。一つはマッコウクジラの生態を解明するための研究です。マッコウクジラがダイオウイカを捕食している様子を撮影し、その生態を明らかにすることが目的です。このため、ロボット技術を活用した新しいロガーを開発し、マッコウクジラの調査を行っています。もうひとつのテーマは、さくらんぼ収穫ロボットの開発です。さくらんぼは山形県の特産品ですが、他の果実と同様、農業従事者の減少が深刻です。将来にわたり持続可能な農産物とするためにもロボット化が必要ですが、さくらんぼの栽培・収穫は、他の果実と比べて難易度が高く、ロボット化は容易ではありません。しかし、今から技術開発を行わなければ間に合いません。前者はサイエンス(人類の知)への貢献であり、後者は地域への貢献です。競争的資金だけでは、継続的に円滑な研究を進めることは困難なために、皆様のご支援をお願いします。


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妻木 勇一 教授 ツマキ ユウイチ
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研究内容

1.ロボットテクノロジーでマッコウクジラの謎に迫る

マッコウクジラは深海でダイオウイカを捕食しています。しかし、マッコウクジラがどのように狩りを行っているのか、その捕食行動は生物学上の大きな謎です。海洋動物学者達はこれまでバイオロギングという手法を駆使して、この様子を撮影しようとしてきました。しかし、まだその様子を撮影した人はいません。そこで我々は、ロボットテクノロジーを使って、この謎に挑んでいます。これまでクジラ用ローバーと呼ぶクジラ体表を吸着移動するロガーやドローンから投下して吸着させるロガーを開発し、小笠原ホエールウォッチング協会の特例許可の下、調査を行ってきました。吸着時間は短いですが2019年におそらく世界で初めてドローンを使ってロガーをクジラに吸着させました。また、2021年にクジラ体表上の吸着歩行を実現、2024年には2時間の吸着を達成し、700 mを超える深海まで到達しました。捕食行動の撮影にはいたっていませんが、開発機器の性能は十分狙えるレベルまで来たと言えます。さらなる性能向上や工夫を行いつつ、調査に必要な機材を維持・更新しながら、調査を続けられる体制を維持することが必要です。

2.ロボットテクノロジーで未来の農業を創る

さくらんぼは山形県が国内生産の約7割を産出しており、県の代表的な果実です。しかし、近年の農業従事者の減少により、収穫しきれないさくらんぼがそのまま廃棄される状況が起こっています。一方、さくらんぼは農産物というだけではなく、さくらんぼ狩りを代表とする地元の観光産業を支える重要なコンテンツでもあります。すなわち、さくらんぼの問題は、地元の旅館、飲食業、旅行会社、土産製造業など広く観光業にも関わる問題でもあります。また、高所作業が含まれるため、落下事故で大怪我をする人も後をたちません。我々は2015年に始まった『山形県さくらんぼ世界一プロジェクト』に参画し、以来、さくらんぼ自動収穫ロボットの開発を行ってきました。しかし、さくらんぼの自動収穫は容易ではありません。果梗ごと収穫する必要があること、1個当たりの単価が低いこと、収穫時期が1ヶ月程度しかないこと、環境が複雑なことなど、他果樹と比べて多くの難しさがあり、高難度な技術が要求されます。現在、1個あたり14秒程度で収穫できていますが、実用化するには、技術をさらに磨き、より高速な収穫を目指すと伴に、自動化できる作業を広げる必要があります。