研究プロジェクトの紹介

能登の文化財と記憶を伝えるプロジェクト ※返礼品あり(特別解説)

本プロジェクトは、金沢大学資料館の学芸担当教員であり、考古学・博物館学を専門とする松永篤知特任助教が能登半島地震以前から継続して取り組んでいる研究活動です。松永特任助教は資料館が所蔵する能登由来の資料の調査・研究を進めるとともに、所有者からの依頼に応え、被災地で文化財レスキューの活動に携わっています。

金沢大学 資料館
松永 篤知 特任助教 マツナガ アツシ
金沢大学 資料館
松永 篤知 特任助教 マツナガ アツシ
寄付方法
・返礼品
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本プロジェクトについて

プロジェクトの背景

令和4年に博物館法が改正され、貴重な文書や文化財をデジタル化し長期保存するデジタルアーカイブ化が全国の博物館で進められています。金沢大学資料館も令和5年度の文化庁Innovate MUSEUM事業に採択され、県内の複数の博物館と連携して博物館資料のデジタルデータ化を進め、「石川デジタルミュージアムネットワーク(IDMN)」として公開しています。
 
一方、令和6年能登半島地震では多くの博物館や文化財が被災しました。北陸・石川の文化財の調査・研究に携わってきた研究者として、自分の知識と技術を被災地支援に役立てたい―。そんな思いから、能登に関する研究と実践活動を「能登の文化財と記憶を伝えるプロジェクト」と位置づけ、学内外の関係者とともに取り組んでいます。

プロジェクトで取り組む研究・実践活動

文化財レスキューセット

(1)被災文化財レスキュー
石川考古学研究会や国の文化財防災センターが実施する被災文化財のレスキュー活動にボランティア参加しています。一般住宅や寺社など建物内に残された文化財の救出と応急措置、考古資料や遺跡の被災状況の確認、救出した文化財を保管する施設での整理作業など、現地での作業は多岐にわたります。
 
文化財は地域の貴重な宝物ですが、被災した人々にとっては当然、暮らしの再建が優先です。被災地の外にいる我々専門家が文化財レスキューを担うことで、被災市町の負担を軽減したいと考えています。

(2)文化財のデジタルアーカイブ化
文化財をデジタル化すれば、時間・空間の制約を超えた展示が可能になります。また、万が一地震などで被害を受けたり、実物が失われたりしても、その価値や情報を後世に伝えることができ、復元や再現に向けた出発点にもなります。

石川デジタルミュージアムネットワークでは、地震で被災した文化財のデジタル化に取り組み、「被災文化財」として公開しています。今後もコツコツと作業を続け、公開件数を増やしていく予定です。
 
▼石川デジタルミュージアムネットワーク

志賀町龍護寺旧蔵仏像 地蔵菩薩

(3)博物館資料の調査・研究
金沢大学資料館は、かほく市余地経塚から出土した12世紀後半の珠洲焼、宝達志水町北川尻から出土した古墳時代後期の埴輪、志賀町の龍護寺から譲り受けた平安時代の木造仏など、能登由来の貴重な資料を所蔵しています。縁あって能登から当館にやってきたこれらの資料の価値を発信していくことも、私の役割のひとつだと考えています。

文化財レスキュー事例

平均すると一カ月に一回程度のペースで能登に足を運び、文化財レスキューに取り組んでいます。漆器、北前船の船箪笥、キリコ、神輿、民具など、能登の文化や歴史を反映したもの、そのご家族のご先祖が残してくれたものなど、さまざまな宝物を救出する作業です。あわせて遺跡や石造物の調査も行っています。

かほく市余地経塚出土珠洲焼 鉢

◆能登町 ・本両寺が所蔵する中世珠洲焼の補強・修復
珠洲市を中心に能登半島の先端一帯で生産された珠洲焼は、12世紀後半~15世紀の日本海側で広く流通し、特に壺・甕・鉢は、日本海側の中世遺跡を発掘調査すると高確率で出土します。本両寺では、これら主要三器種ではなく、水注、瓶子、三足小鉢、灯明台など、他の地域では見られないような器種も所蔵しており、その補強・修復を通じて珠洲焼の本場の奥深さを改めて認識しました。
 
▼能登半島における文化財レスキューと本場の中世珠洲焼の価値

珠洲市岡田横穴群(1号横穴墓)

◆珠洲市内に分布する横穴墓の被災状況調査
横穴墓とは6~7世紀に丘陵斜面に掘られた墓の一種で、当時の墓制や社会構造を知る上で重要な存在です。珠洲市内の横穴墓の被災状況は場所によって異なり、被害を免れたものがある一方で、大きく崩落したものもあります。珠洲の横穴墓は、珪藻土の層を掘って築かれており、掘りやすい反面、崩れやすいという地域的特徴を目の当たりにしました。
 
▼能登半島における文化財レスキューと能登由来博物館資料の再評価 ―考古学を中心に―

文化財レスキューの際の作業メモを記した野帳(中世五輪塔群の復元作業)

◆中世五輪塔群の復元作業
令和5年の地震で倒壊した、珠洲市内の中世五輪塔群の復元作業を行いました。地元の高校生たちも参加し、地域の歴史教育にも少しは貢献できたのではないかと思っています。
能登での文化財レスキューの際にはいつも野帳を持参し、現地・現物の状況をスケッチしています。

プロジェクトを通じて成し遂げたいこと

能登の被災地ではゆっくりですが着実に復旧・復興が進んでいます。しかし、真の復興にはハードだけでなく、地域の歴史や文化、そしてそれぞれの家族の記憶を伝えるソフトも大切ではないでしょうか。石川県に立地する大学の研究者として、北陸地方出身者として、一過性ではない、息の長い支援活動をしていきたいと考えています。

iDonateをご覧の方へ

本プロジェクトは、金沢大学資料館の活動の一環として行っているもののほか、ボランティアで行っているものもあります。

国の文化財防災センターが実施する文化財レスキューは交通費が支給されますが、それ以外の文化財レスキューはガソリン代も自己負担です。

金沢から奥能登まで往復のガソリン代は約3000円。無償ボランティアだからといって活動を躊躇することはありませんが、皆さまのご寄付をいただければ、応援していただいているという思いを胸に、一度でも多く能登に足を運ぶことができます。ご寄付を検討していただけると嬉しいです。

ご支援はこちらからも

▼松永篤知特任助教 研究者ページ
https://www.idonate-all.jp/donation/detail/fLdGCX2LooJe

返礼品のご案内

皆様からの温かいご支援への感謝として、以下の返礼品をご用意しております。
 
(1)金沢大学資料館の解説付きツアー(90分)のご招待 (寄付金額1万円以上)
金沢大学資料館の展示室を、特別解説付きで巡る90分の限定ツアーにご招待します。「旧制第四高等学校(四高)」をはじめとする前身校と金沢大学に関する機器・掛図・標本・写真・文書・図面・考古・美術工芸の各種資料や、加賀藩に関する歴史資料などから、大学の歴史と学術的価値を深く掘り下げてご紹介。歴史を体感できる貴重な機会です。
 
(2)(1)に加え、令和8年度前期企画展における特別解説ツアー(60分)のご招待 (寄付金額3万円以上)
(1)の資料館ツアーに加え、能登をテーマとする令和8年度前期企画展に関する60分の特別解説ツアーにもご招待します。能登地域に伝わる貴重な文化財や、大学が収集した学術資料について、その歴史的背景や研究上の意義を専門的に解説。能登の豊かな文化を、深く知ることができる機会です。
 
(2)は(1)との同日開催となり、いずれのツアーも現地集合(金沢大学資料館)になります。
開催日時や企画展の詳細は、決まり次第ご連絡します。
 
本プロジェクトへのご寄付は、大学からの通常の返礼品の対象にもなります。
 

松永篤知 特任助教がご案内・解説します

税制上の優遇措置について

本プロジェクトへのご寄付は、税制上の優遇措置(寄付控除)を受けることができます 。控除に関する詳しい情報は、以下のリンクよりご確認ください。
 
▼税制上の優遇措置