研究ピックアップ
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ジェンキンズ ロバート准教授ジェンキンズ金沢大学金沢大学・理工学域・地球社会基盤学類・地球惑星科学コース
研究分野: 地球科学,古生物学,古地磁気学,地質学,海洋生物学
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2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震によって,能登半島の外浦(北西海岸)は歴史記録に類をみない4mを超える隆起が引き起こされ,珠洲市と能登町を中心とした内浦(東海岸)には津波が襲来した.これらによって海底環境や海洋生態系に大きな影響を与えた.その実態を把握し,継続的な生態系・環境の回復過程を追跡する.
本研究では,能登半島地震の最大の特徴である「隆起」と「津波」による影響評価を行うべく,輪島地域と,能登町-珠洲地域の2地域において,生物学的・地球化学的・地質学的分析を駆使して,生物相,生態系,水(海水・海底下の間隙水),海底(岩礁・堆積物)を総合した生物―地球―化学環境の変化を明らかにする.
金沢大学・理工学域・地球社会基盤学類・地球惑星科学コースおよび国際基幹教育院の教員有志による研究チームで活動します.
参画教員
ジェンキンズ ロバート (地球惑星科学コース)
佐川拓也(地球惑星科学コース)
臼井洋一(地球惑星科学コース)
佐藤圭(国際基幹教育院) -
谷口 健司教授タニグチ ケンジ金沢大学理工学域
研究分野: 河川工学(洪水や氾濫のシミュレーション,大雨災害に関するリスクと対策の評価,人口減少や都市構造変化と水害),水文気象学(温暖化の影響評価,降雨予測精度向上)
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地球温暖化による気候変化に伴い,大雨の激甚化や頻発化,それに伴う大規模洪水の発生が懸念されています.また,我が国においては今後人口減少が進むことが想定されており,都市構造変化も予測されます.
地球環境の変化により,将来の大雨がどのように変化するかを明らかにし,気候変化下での河川の氾濫や土地の浸水について推定を行うとともに,社会構造が変化した際の経済損失や避難困難度といった水災害リスクの評価を行います.さらに,氾濫制御施設や遊水地の建設といったハード対策や,人口減少下における居住地移転や土地利用の変更などの都市計画的施策による被害軽減効果の評価を行い,有効な水災害対策を考究します.
また,リアルタイムでの水災害対策に資する降雨予測情報の構築と活用に関する研究にも取り組みます.
以上の研究活動により,水災害に適応した強い社会・地域づくりの実現を目指します. -
藤生 慎准教授フジウ マコト金沢大学融合研究域 融合科学系
研究分野: 土木工学,防災工学,土木計画学,観光計画学,交通計画学,維持管理工学,東ティモール民主共和国(インフラ・教育・防災・維持管理・観光など)
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私たちは地域住民が安心して生活できる、安全・安心な社会の実現を目指して研究を行っています。研究成果を社会へ還元するために、社会課題に真摯に向き合い、その課題解決に尽力しています。私たちの研究室では,これまで,防災・交通・観光・健康・まちづくりをテーマに、様々な研究を実践しており、これらの知見をもとに、能登の震災復興における安全・安心なまちづくりを、地域自治体、地域住民の皆様と協働で進めています。
研究では、世界最先端のセンサーで取得したビッグデータを用いることで、統計解析からAIまで幅広く研究を行っています。複雑化する社会課題にスピーディに対応することが求められており、「実践的な研究」、「最重要課題からのタックル」、「現場第一主義」を研究室の目標に掲げ、研究・教育を行っています。
グローバルな視点からの研究も取り入れ、東ティモール国立大学と研究・教育における大学間交流協定を締結しました。東ティモール共和国全土を研究・教育を行う場とすることで、地球規模の課題解決にも挑戦しています。
これらの研究をさらに推進するために寄付のご協力のほど、よろしくお願いいたします。 -
森崎 裕磨助教モリサキ ユウマ金沢大学融合研究域 融合科学系
研究分野: 土木計画学,観光科学,防災計画,健康まちづくり,ビッグデータ解析,AI
研究概要
近年,DXをはじめとしたビッグデータを活用した,まちづくりが推進されている.金沢大学 交通・防災まちづくり研究室では,観光・防災に着目したEBPM型まちづくりに関する研究を実施している.防災の観点では,オーダーメイド型避難支援システムの開発,災害時に必要となる医薬品需要の将来予測システムの開発等を実施している.観光の観点では,インバウンド観光客の広域観光周遊モデルの開発,スマートウォッチを用いた観光客の生理・行動データ基盤の開発等を実施している.
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研究概要
災害被害や長時間労働などで過剰な負荷がかかっているときに、自分では自覚しがたいストレス負荷状態を、生理学的に測定することにより早期に検知して、疾病に発展する前に適正な介入により緩和するための条件づくりを行うための研究である。生理学的指標としては心拍変動解析を使用する。介入は当方が学生支援プログラム(Xアカウント:@ku_wellness)として実施している食育、コンサート等の活動、Kanazawa Educational Yell Psychological Assistance Team (KEYPAT)(Xアカウント:@KEYPAT468342)として実施している個人に対する支援活動(カウンセリング)と集団に対する支援活動(ストレスマネジメント)の中から、効果的なプログラムを構築する。介入の効果は、心拍変動解析と心理尺度から検証する。
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渡辺 哲陽教授ワタナベ テツヨウ金沢大学理工研究域
研究分野: ロボティクス,マニピュレーション,ソフトロボット,医療福祉ロボット
研究概要
人間生活の近くでは周辺に様々な「モノ」や「カベ」があり,このような狭くモノが散らかった空間でも自在に動くことができるロボットハンドシステムの実現を目指しています.ポイントは「出来る限り少ない(単一の)アクチュエータ(モータ)で多機能をもつ」というミニマリズムのコンセプトです.ロボットの重量,配線,制御自由度などが低減されるため,実応用に適しています.AI技術を使って物体操作するときに導入がやり易いハンドです.
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石谷 孔司助教イシヤ コウジ金沢大学サピエンス進化医学研究センター
研究分野: バイオインフォマティクス、パレオゲノミクス、メタゲノミクス、集団遺伝学
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遺跡などから出土した考古試料のDNAを分析する「パレオゲノミクス」は、過去に存在していた(あるいは絶滅してしまった)生物に関する貴重な情報を得るための強力なアプローチです。この分野は、これまで多くの研究者が取り組んできた「ヒトはなぜこれほどまでに繁栄できたのか」「(我々の)祖先はどこから来たのか」「病原菌やウイルスはどのように拡散し、進化してきたのか」「なぜこの種は絶滅したのか」等の根源的な問いの解明に大きな可能性を秘めており、世界各地で精力的な研究が進められています。
では、なぜこのような研究がここ数年で急速に進展したのでしょうか。その背景には、「バイオインフォマティクス」と呼ばれる、生物を情報科学的な視点から分析し理解するための研究分野の発展が深く関係しています。従来、考古試料のDNA分析には、経年劣化によるDNAの分解、他個体や別種のDNAによる汚染、非常に限られたDNA量といった数多くの制約がありました。しかし、統計学や機械学習、深層学習、AIといった先端技術を駆使したバイオインフォマティクスの進歩により、こうした課題の多くが克服されつつあります。
具体的には、バイオインフォマティクス技術を活用することで、非常に短く断片化した古代DNAをコンピューター上で正確かつ効率的につなぎ合わせ、古代のゲノム復元(再構築)が可能になりました。また、病原体の起源系統を突き止めたり、異種・同種由来の汚染DNAの除去、さらには表現型の予測(復顔など)といった幅広い応用がバイオインフォマティクスによって可能となっています。これらの技術は、パレオゲノミクスの潜在能力を最大限に引き出し、古代人の起源探索や生命進化への理解を強力に推し進める原動力となっています。当研究室では、こうしたバイオインフォマティクス技術を主軸にヒトを中心とした動植物や微生物の起源や進化に対する理解を深めながら、医学や他分野との連携を含む文理医融合型研究を進めています。 -
研究概要
20世紀末にイギリスで提唱された新しい観光の概念である”ダークツーリズムDark Tourism”は、瞬く間に世界中に伝播し、実践と研究が深められています。災害・戦争・事件・事故の記憶を後世につなぎ、教訓としていくための一つの手段として、現場の観光活用は非常に大きな可能性を有しています。この研究の重要性を理解し、支援してくださる皆様に心から感謝申し上げます。
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研究概要
パレオゲノミクス(古ゲノム学)は、過去の人類集団の起源研究に大きな成果をもたらし、人類学・考古学の枠組みを超えて、新たな仮説を生み出すポテンシャルを有している。
近年では、遺跡から出土する人骨を全てゲノム解析して、血縁関係や他地域からの移入など、「1個体の歴史性(ライフヒストリー)」の復元が重要視されてきた。しかし、近年日本で進められているパレオゲノミクスはまだ数百個体程度のゲノム解析しかできておらず、現代人ゲノム研究並みの1万人〜10万人規模での比較解析ができていないのが現状である。
本プロジェクトは、この1万人パレオゲノミクスプロジェクトを達成することで、日本列島人の過去から現代までのヒトのつながりを可視化させるだけでなく、日本列島人特有の過去から受け継がれた遺伝的遺産(Genetic Legacy)を特定し、疾病リスクや感染症の重症化リスクなどの医学的に有益な情報のアーカイブ化を目指すものである。そこには、これまでの現代人ゲノムデータの解析だけではわからない、過去の「新たな真実」が発掘されると期待される。日本列島人とは何者なのか?客観的な評価に基づいた大規模パレオゲノミクス研究が展開される。 -
久保 豊准教授クボ ユタカ金沢大学人間社会学域
研究分野: 映画研究、映画批評、映画史、クィア・スタディーズ、日本研究、ジェンダー、セクシュアリティ、老年学、食文化
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研究概要
北陸地方は、歴史や文化を重んじる土地柄であり、日本考古学に関しても明治時代の北陸人類学会以来、1世紀以上の研究の蓄積があります。私は富山県出身、金沢大学卒業・修了の生粋の北陸人であり、ずっと北陸地方の歴史と文化に触れてきました。その背景を活かして、北陸地方の縄文時代を中心とする東アジアの編物・敷物圧痕をはじめ、金沢大学構内遺跡とその出土遺物、金沢大学資料館所蔵の博物館資料、近代の歴史的建造物等、先史・古代・中世・近世・近現代の多様な文化財を調査・研究しています。特に近年は、民俗・民族調査や三次元計測などの手法も取り入れながら、多角的に東アジアの歴史像・文化像を描くことを目指しています。それだけでなく、これからの北陸地方および日本を支える重要な柱のひとつである文化観光も視野に入れて、公益性の高い調査・研究を進めていきます。
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研究概要
今知られている唯一の生命進化の場である地球の大きな特徴の一つは、地磁気を持っていることです。私たちは地磁気が地球生命環境の形成に果たしてきた・果たしている役割を発見し、理解することを目指しています。そのために、マイクロスケールの天然磁石(鉱物)が持つ磁力と地磁気との関係を研究します。具体的には、サブミクロンスケールでの3次元計測、数値モデリング、合成実験を磁気測定と組み合わせる一連の分析技術の開発を行います。また海洋底などでの試料採取とその分析を推進します。見えない磁場の大きな働きを発見し、地球にワクワクする人材と社会文化を創り出すことも目標です。学生の旅費などの実地教育資金、および通常の助成では難しい長期的な研究の資金としてのご支援をお願いします。
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研究概要
いま地球気候は人間活動によって大きく変化しようとしています。しかし、人間が活動を開始する以前にはもっと激しい気候変動が起こっていたこともわかっています。
人間活動に伴う気候変化を正しく評価するには、元来地球が持つ自然の変動リズムやそのメカニズムを理解する必要があります。当研究室では、海に生息する小さなプランクトンの化石から過去の海洋環境の変化を読み取り、地球気候の変動メカニズムを理解しようと研究を行っています。 -
當摩 哲也教授タイマ テツヤ金沢大学ナノマテリアル研究所 創エネルギーデバイス開発グループ
研究分野: 太陽電池,有機薄膜太陽電池,ペロブスカイト太陽電池,有機電子デバイス
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我々チームは,イオン液体添加技術によりペロブスカイト太陽電池の長寿命化に成功している。さらに,半透明モジュールやタンデムモジュールの開発を展開している。これにより安価・高性能・長寿命なフィルム太陽電池が実現でき,我々の力でエネルギー問題・環境問題のゲームチェンジを目指している。
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研究概要
軽くて安い、どこにでも気軽に設置できる次世代太陽電池の実用化を目指して研究をしております。
毒性物質も一切含まないので、ロケーションフリーな電源として、森林などを伐採せずとも様々な場所に太陽電池を用いることができるようになります。 -
研究概要
バイオマス資源である木や、食物繊維などを「透明なフィルム」などの新しい形で利用する研究を進めています。プラスチックに代わる生分解性の高い素材として活用していきたいと考えています。
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研究概要
大気と海洋の間では、風、波、海流の運動エネルギーや、気温、水温、蒸発による熱エネルギーのやり取りが常に行われています。大気から海洋への運動エネルギーの供給は波の発達や海流に影響し、海洋から大気への水蒸気の供給は降水や台風の発達に影響を与えます。これにより、沿岸災害や漁業施設などの沿岸産業、さらに豪雨、洪水、強風といった形で私たちの生活にも大きな影響を及ぼします。
海面は、運動エネルギーと熱エネルギーのやり取りが常時同時に進行している非常に複雑な環境です。しかし、これまでのところ、どれだけの運動量、熱エネルギー、水蒸気がやり取りされているのかはまだ完全には解明されていません。これらを正確に把握できるようになると、日々の天気予報や台風の予報精度が向上し、気候変動による大気と海洋への影響をより正確に予測できるようになります。
私たちは、大気と海洋の相互作用を解明するために、観測やシミュレーションを駆使した研究を進めています。この重要な研究を支えるため、皆様のご支援をお願い申し上げます。
個人webサイトはこちら→https://www.airsea.jp/ -
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宮嶋 陽司准教授ミヤジマ ヨウジ金沢大学理工研究域
研究分野: 材料科学、金属、ハイエントロピー合金、アルミニウム合金、銅合金、鉄鋼材料、異種金属積層材、組織定量学、ナノ粒子、レーザー、薄膜、炭素材料、ナノ結晶粒金属
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研究は主に3種類に大別できます。
1つ目は、各種高強度金属材料を開発することで、車や飛行機等の移動用機器を軽量化に貢献します。他にも、軽量導電ワイヤーの開発も行っています。
2つ目は、金属材料のナノ粒子や薄膜を作製し、コーティングや触媒として用いて、結果を社会へ還元します。
3つ目は、炭素系材料の研究です。酸化グラフェン等の炭素系材料と金属ナノ粒子等を組み合わせることで、各種触媒を作製し、SDGsへと貢献します。
https://materials.w3.kanazawa-u.ac.jp/ -
研究概要
地球に水や生命、大陸が存在するのは地球の岩盤(プレート)が常に変動しているからだと考えられています。海の底で、地球の80%を占める『マントル』が溶けて移動し、地殻を形成します。しかし、そのダイナミックなプロセスは謎に満ちています。
プレートテクトニクス(岩盤の移動)を理解するためには、プレートのことを誰よりも知る必要があります。その直接的な方法は、『生のマントル』を採取するために海底下6,000メートルまで掘り進むことです。
私たちは、日本および世界の技術の粋を集結し、人類初の生マントルの採取に向けた、準備、研究を行います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。 -
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荒川 大准教授アラカワ ヒロシ金沢大学医薬保健研究域薬学系
研究分野: 薬物動態学、薬物安全性学、細胞工学
研究概要
・医薬品や食品・化粧品などの化学物質による安全性評価手法を開発するため、新しい培養方法の構築し、その細胞を用いた評価方法の開発を行なっています。構築した評価系は市場化やガイドライン化を行い、医薬品や一般化合物の研究開発に具体的に貢献できることを目指しています。
・腎不全の治療・予防方法を樹立するため、腎臓組織の培養方法の作成や、尿毒症物質の解毒方法の探索を行なっています。 -
研究概要
漢方生薬『麻黄』は葛根湯や麻黄湯などに配合される重要な生薬です。現在,日本で使用される麻黄の全量を中国から輸入していますが,中国では麻黄を輸出規制の対象に指定しています。日本で安定的に麻黄を使用するためには国内で生産する必要があると考えられます。
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研究概要
サイトメガロウイルス(CMV)は健康な成人の多くに症状を起こすことなく感染しているウイルスです。妊婦がCMVに感染すると、胎児では小頭症・聴覚障害・発達障害などを起こすことがあり、先天性CMV感染症と呼ばれています。CMVは経胎盤感染を起こすことが知られていますが、その詳細は分かっていません。CMVが胎内でどのように感染するのかを明らかにし、胎内感染症への新たな対抗手段を確立するための基礎研究を行っています。
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研究概要
糖尿病足潰瘍は、糖尿病患者の足部に発生する足病変の一つであり、重症化すると足切断などの身体予後や生命予後に影響するため、予防や早期治癒が重要である。世界的に糖尿病患者数は急増しており、合併症である糖尿病足潰瘍のマネジメントの確立は国境を越えた喫緊の課題となっている。
我々はサーモグラフィを用いた糖尿病足潰瘍リスク状態の視覚化、治癒過程をモニタリングし点数化するスケール「DMIST」による糖尿病足潰瘍治癒過程の視覚化に取り組んできた。これらの視覚化技術に自動判定機能やリモート機能を取り入れ、地域や国を超えて、誰もがタイムリーに適切なケアを受けられる社会の実現を目指す。 -
研究概要
がんの転移はがん患者の最も多い死亡原因です。特に骨へのがん転移は、患者さんの生活の質(QOL) に影響を及ぼします。しかし、その治療法はいまだに存在していません。
私たちは、①骨に転移したがん細胞では通常の免疫応答が弱いこと、②がん細胞が定着しやすい環境を骨内に築いていること、を明らかにしました。
こうした研究成果をもとに、がん骨転移を予防し治療する画期的医療の開発を目指しています。 -
研究概要
感染症学に関する幅広い研究テーマに積極的に取り組んでおります。感染症の基礎的・臨床的研究(病原微生物解析と分子疫学研究、微生物ゲノム研究、薬剤耐性及び病原性メカニズム、感染病態及び感染様式の解明、感染症検査診断法、抗微生物薬適正使用と感染症治療、感染予防と制御策の確立等)に取り組み、感染症学・臨床検査医学におけるトランスレーショナル・リサーチを推進いたします。病態では、微生物ゲノム、薬剤耐性、病原因子、伝播メカニズムの研究、疫学では、薬剤耐性菌の分子疫学研究、下水疫学による感染症流行予測、検査診断では、新規遺伝子検出法、微生物同定/薬剤耐性検査法の確立、治療では難治性感染症の治療法の確立、ビッグデータ解析研究、予防制御では新規感染制御法、消毒技術の開発を行い、総合的な感染症研究を進めて参ります。このように、先進的、学際的、創造的な感染症研究を推進し、感染症科学を基盤とした臨床検査医学を発展させて参ります。
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研究概要
私は長年にわたり、医師として内分泌代謝疾患の診断と治療を手掛けてきました。研究面では、海外留学中に質量分析計を用いた網羅的測定方法を習得し、これを基に革新的な解析手法を開発し報告しています。2022年には、難治性副腎疾患に関する大規模研究を通じて、AIを用いた疾患予測アルゴリズムを開発し、その高い予測精度で注目を集めました。私は医療AI研究の専門家として、他の多くの診療科や学術分野との融合研究にも積極的に参加しています。また、VRやAIを活用した教育ツールの開発に尽力し、一般市民にも生活習慣病の予防と管理の知識を広めることを目指しています。
〇研究課題
・マルチオミクス、ウエアラブルデバイスを活用した革新的診断予測支援ツールの開発
・マルチデバイス対応医療教育支援プログラムの開発
・健康経営と災害医療の効率化を目的とした領域特化型AIサービスの構築
・総合大学の資源を活用した文理医融合による地域医療の問題解決
未来の医療ってどんなものを想像しますか?私の研究は、教育、研究、臨床の各分野での実績を通じて、医療の未来を創造することを目指しています。 -
研究概要
脳を理解することは、人間を理解することともいえます。私たちの研究室では、脳が正しく働くための仕組みや、病気の際に脳にどのような異常が起きているか研究しています。これらを通じて、新しい医療に貢献していきます。
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研究概要
高頻度接触面を含む環境では、薬剤耐性菌が長期間生存しやすく、医療関連感染症の原因となることがあります。耳鼻咽喉科・頭頸部外科の診察では、診療ユニットを使用し、患者様に直接接触しながら診察を行います。さらに、喉頭ファイバースコープ検査や、エアロゾルが飛散する気管孔周囲の処置、手術後の創部処置が日常的に行われています。このような診察や処置中に、診療ユニットや医療従事者の手指に薬剤耐性菌が付着し、他の医療従事者や患者様に伝播するリスクが懸念されます。
近年、従来の手動清掃を補完する方法として、UV照射や過酸化水素蒸気システムなどの非接触型消毒法が導入されています。特にUV-C装置を使用することで、環境表面の微生物を大幅に減少させ、医療環境の消毒レベルを向上させる効果が確認されています。カルバペネム耐性菌に対しては、直接UV照射で99.999%以上、間接照射でも99.99%以上の殺菌効果が報告されています。
本研究では、金沢大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の診察室において、環境表面のサンプリングおよび菌の培養を実施し、存在する薬剤耐性菌の種類、分布場所、存在量を明らかにします。さらに、紫外線照射装置(SEPALIGHT、SARAYA)を使用し、診察室内の薬剤耐性菌に対する殺菌効果を検証します。また、紫外線照射装置の使用前に診察を受けた患者様の培養検査から検出された薬剤耐性菌と、環境中から検出された薬剤耐性菌の関連性についても検討します。本研究結果をもとに、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の診察室内における環境表面の薬剤耐性菌による汚染状況および紫外線照射装置の殺菌効果に関するデータを構築し、耳鼻咽喉科・頭頸部外科における感染管理対策の向上に寄与することを目標としています。 -
研究概要
ボツリヌス菌は生後約1歳未満の乳児に感染し、腸内で毒素を作り致死的な麻痺を引き起こします。一方で、成人には通常感染しません。例えば本菌の芽胞はハチミツに含まれることが知られており、赤ちゃんには与えないよう警告がなされていますが、大人はいくらハチミツを食べても全く感染しません。これはなぜでしょうか?
1980年台初頭の研究から、腸内細菌が感染防御に重要であると考えられているものの、その後動物モデルを用いた感染実験は報告されておらず、詳細なメカニズムは現在でも不明なままです。
本研究は、「なぜ乳児だけがボツリヌス菌に感染してしまうのか」という半世紀近くにわたる謎を解明し、新規の治療・予防法の開発につなげることを目的とします。
当研究室では、現在(おそらく)世界で唯一ボツリヌス菌の感染実験を実働しており、無菌マウスやヒト乳児糞便移植マウスを駆使して、実際の感染状態における腸内細菌・宿主・病原体の相互作用を研究しています。ボツリヌス菌という特殊な感染機構を持つ病原体を介して、乳児型から成人型へと腸内細菌叢が変遷していくことの生物学的な意義についても迫ることができると考えています。 -
研究概要
我々は、生体内の様々な病変を超早期に検出可能なイメージング法の開発を行っています。特に、α線、β線等を用いた放射線内照射とX線等を用いた放射線外照射を利用したがんの放射線治療における治療効果増強法と副作用軽減法の開発に取り組んでいます。また、数十年後にはがんよりも致死率が問題になる薬物耐性菌感染症では、抗菌剤などの薬物療法の効果がなくなるため、薬剤耐性菌感染症を克服するために放射線治療の適応を考え、放射線内照射による薬剤耐性菌治療法を研究しています。
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研究概要
原発性胆汁性胆管炎(PBC)を中心に、細胞老化とオートファジー異常に着目して肝胆道系疾患の病態解明を行う。成果を診断治療に有用なバイオマーカーや新規の治療法の開発につなげる
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研究概要
高齢者人口の増加により心不全患者は増加しており、2030年には国内で130万人に上ると推定されています。心不全は進行性の病気です。高度に心機能が低下する重症心不全患者は薬物治療の効果が小さくなり、最終的には心臓移植が必要となりますがドナー不足が深刻な状況です。既存医療を補完する臓器不全治療の開発が急務でありその一つとして再生医療が注目されています。iPS細胞は多系統細胞への分化誘導が可能であり、分化誘導した細胞塊あるいはシート状組織を移植することで、失われた機能の改善が見込まれます。しかしiPS細胞から誘導する心筋細胞は、腫瘍化リスクや高コストなど課題が多いことから、非iPS細胞を用いた再生治療研究も必要であると考えています。皮下脂肪組織の間質に存在する細胞(adipose SVF細胞)は幹細胞を含んでいます。体細胞由来であることから腫瘍化リスクが少なく、美容外科的手法で低侵襲的に大量に採取できることから再生治療ソースとしては高い魅力があります。これまでの研究において、adipose SVF細胞は、iPS細胞とは異なり拍動する心筋細胞へ分化誘導することはほぼ不可能であるとされてきました。私は成体マウスのadipose SVF細胞の初代培養において、一部の細胞集団から自律拍動する細胞が出現する現象を発見し、この拍動細胞が心室様心筋細胞であることを示し報告しました (Takashima S. Sci Rep 2021)。しかしAdipose SVF細胞の一部の細胞が初代培養において拍動心筋細胞に分化する詳細なメカニズムは不明です。また拍動心筋細胞の出現頻度が低いことも課題です。私はこれまでに転写因子Mef2cをadipose SVF細胞に強制発現させると拍動心筋細胞が最大2000倍にまで増加することを確認しました。以上の自身の基礎的成果から、非iPS細胞であるadipose SVF細胞を、iPS細胞と同様に「拍動心筋細胞に選択的に分化誘導し収量を増幅できる」実現可能性を着想しました。本研究ではAdipose SVF細胞の拍動心筋分化メカニズムの解明と拍動心筋細胞の分化誘導・増幅法の開発を目的とします(図1)。本研究は重症慢性心不全患者に対する新しい心筋補充治療の創成につながると考えています。皆様のご理解と温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
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研究概要
様々な事情により、股関節から脚を切断すると、脚全部の機能を失うことになるので身体の運動能力は大きく損なわれます。そのような下肢切断者の方は股義足(こぎそく)と呼ばれる義足を脚の代わりとして利用することになります。股義足は、股・膝・足の3つの関節を持つため、義足の中で最も高度な機能が求められますが、現状の股義足の機能は本物の脚に遠く及びません。現状の股義足利用者は日常生活において、運動能力の不足による大きな困難を抱えておられます。
本研究では、そのような下肢切断者の方の運動能力を大きく向上させることができる高機能なロボット股義足の開発を行っています。具体的には、股・膝・足の関節を動力化した部品(ハードウェア)とそれらを連動させて適切に動かす技術(ソフトウェア)の開発と、それらを組み合わせた股義足の開発を同時並行的に進めています。使用者の思い通りに動作する股義足を実用化できれば,日常生活の負担を大幅に減らし、さらにはこれまでは「できなかったこと」(たとえばスムーズな階段昇降や坂道歩行など)が「普通にできること」になることで、下肢切断者の活動や参加機会が格段に拡大することが期待されます。 -
研究概要
原発性アルドステロン症(PA)は高血圧全体の約10%を占め、本態性高血圧と比較して心血管疾患のリスクが高い。近年、肥満症の増加に伴い、PAのサブタイプである特発性アルドステロン症(IHA)が増加しており、生涯の投薬を要する。申請者はマイクロRNA(miRNA)に着目し、肥満IHA患者の血中からアルドステロン分泌に関与する特徴的なmiRNAを見出した。本研究では、血中miRNA高発現マウスを新たに作成・解析する。この研究により、「肥満関連アルドステロン症」の疾患概念確立と新規治
治開発の基盤形成を目指す。この研究で、これまで未解明であったヒトの肥満症とIHAの関連を直接証明し、この肥満関連アルドステロン症に対する新たな治療戦略が広がると考えている。 -
研究概要
本研究では、脂肪性肝疾患の進行メカニズムを詳細に解析し、すでに承認されている医薬品を新たな治療法として応用(ドラッグ・リポジショニング)できる可能性を探ります。これにより、早期の臨床応用を目指し、より効率的で安全な治療法の確立を目指します。
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研究概要
自閉スペクトラム症(以下、ASD)は、コミュニケーションの困難さや、こだわりの強い行動や興味を特徴とする発達障害です。その原因解明と治療法の開発は、長年にわたり社会的に強く求められてきました。近年の大規模なゲノム解析により、CHD8というクロマチンリモデリング因子が、ASDの最も有力な原因候補遺伝子として特定されました。この発見は、科学界に大きなインパクトを与えています。
私たちは、ヒトASD患者におけるCHD8の変異を再現したモデルマウスを作製し、このマウスがASD様の行動特性を示すことを確認しました。この成果は、世界的な権威ある学術誌「Nature」にも掲載されました [Nature 537: 675 (2016)]。現在、このモデルマウスを活用し、ASDの発症メカニズムを詳しく解明するとともに、新しい治療法の開発を目指して研究を進めています。
さらに、私たちはASDの特性を「個性」として捉え、未来を担う子どもたちが健康で安全に、そして安心して暮らせる社会を築くことを目標としています。これにより、うつ病などの二次障害を予防し、すべての子どもたちがその可能性を最大限に発揮できる社会を実現したいと考えています。
私たちの研究と活動には、皆様の温かいご支援が必要不可欠です。皆様の寄付が、子どもたちの明るい未来を切り拓く原動力となります。ぜひ、未来の子どもたちのために力を貸していただけませんか? -
研究概要
医療X線(レントゲン検査,CT検査)の安全かつ有効に利用するための新しい技術開発を行っています.具体的には,①被ばく線量評価技術の開発や②X線画像検出器の開発を行っています.
【テーマ1】被ばく線量評価技術の開発
日本の医療被ばくは世界ダントツのワースト1位で,被ばく線量を下げることが望まれています.レントゲン撮影やCT検査を適正に利用するために,被検者(患者さん)が被ばく線量を知ることができる仕組みを作りたいと思っています.
【テーマ2】X線画像検出器の開発
およそ130年前にレントゲン博士がX線の透視能力を使って『透過画像を見れる』ことを示し,この画像診断手法が現代まで使われています.しかし,物質を透過したX線を解析して画像化すれば,さらに多くの診断情報を引き出すことができ,レントゲン撮影検査の価値を高めることができます.X線の『真の撮像能力』を引き出すためのチャレンジングな研究を行っています.
研究室HP: https://hayashi.w3.kanazawa-u.ac.jp/ -
堀江 真史准教授ホリエ マサフミ金沢大学医薬保健研究域医学系 分子細胞病理学
研究分野: 病理解剖から得られた検体を活用した、様々な疾患の分子遺伝学的研究を行っています。
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(外部サイトに移動します)研究概要
がんはドライバー遺伝子に対する分子標的薬が次々と開発され治療は目覚ましい進歩を遂げているもののいまだ予後不良です。これは腫瘍内不均一性に起因する治療抵抗性の獲得により最終的には肺やリンパ節に留まらず脳や骨など全身に遠隔転移をきたすためと考えられてます。腫瘍内不均一性の重要性は認識されてきましたが、発生や分化で特に重要となるエピゲノムに着目した腫瘍内不均一性は未解明です。本研究では病理解剖から得られた検体を活用し、検体採取が困難であった空間的に多発するさまざまながんのエピゲノム不均一性の全容を解明することで、治療抵抗性や遠隔転移に寄与するエピゲノム異常の同定と新規治療法の探索を行います。また、併せて臨床応用に向けたエピゲノム不均一性解析の基盤構築を目指します 。
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研究概要
レット症候群は,およそ1万人に1人に発症する女児だけの難疾患です。厚生労働省の発達障害の指定難病に認定されています。1歳くらいまでは正常に成長しているようにみえますが、それまでできていた様々な機能が徐々に失われていき、言葉を話し始めていたのが、急にしゃべれなくなったりと、知能や言語・運動能力が低下してききます。
1999年に原因遺伝子が同定されていますが,未だその治療法の確立には至っておりません。レット症候群に非常によく似た疾患として,MeCP2重複症候群,CDKL5症候群等の神経疾患がありますが,何れもその原因は不明のままで,治療法の開発には至っておりません。
我々は,これらの希少難病の治療方法の確立を目指して日々研究を行っています。 -
研究概要
これまで臨床場面で出会う精神疾患や神経疾患の人たちの高次脳機能(記憶、注意、精神運動、学習、遂行機能などの認知機能)について評価やそれらの改善のためのアプローチを行なってきました。そのための神経心理学的検査の開発や疾患の特徴に即した認知リハビリテーションの開発も行ない、取り組んできました。現在はとくに、脳疾患(脳腫瘍)と統合失調症の人たちについてのより良い心理社会的支援につなげるための研究を行っています。アプローチに際して、症状だけでなく、認知予備力(認知機能の低下を抑える個人の潜在能力)の影響を考慮するための検討を行っています。また、遠隔でも可能な認知機能評価と心理社会的支援の開発にも取り組んでいます。ご支援の程、どうぞよろしくお願い致します。
研究課題
1.脳腫瘍患者における術後治療転帰に関する心理学的要因と心理社会的支援
2.統合失調症患者の認知機能改善と遠隔支援 -
研究概要
体内時計中枢・視床下部視交叉上核の神経ネットワークの動作原理を明らかにすること、体内時計中枢が睡眠覚醒を始め様々な生体機能を制御するメカニズムを統合的に理解することを目指しています。さらに、体内時計中枢の異常により生ずる疾患病態の研究や疾患モデルの開発にも発展させていきます。
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研究概要
患者由来のオルガノイドおよび移植モデル(Patient-derived xenograft以下PDX)は患者本来の癌の特徴を反映していると報告されており、患者個人の癌に合わせた治療が期待されている。本研究は、申請者らが構築したオルガノイド培養技術およびPDXモデルを用いて、大腸がん組織から迅速にオルガノイドを樹立し、Wntリガンド阻害剤を含む薬剤感受性試験を行い、周術期における薬剤選択の可能性を探ることで、大腸がんに対する術前術後の治療戦略を構築し、今後の大腸がん患者に対するPrecision Medicineの基盤構築を目指す。
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研究概要
私たちの研究室が掲げる目標は、近未来のより良い社会を目指すための健康寿命の延伸、アンチエイジングとウェルビーイングです。そのために、現在、以下のような研究課題に取り組んでいます。
・グリケーションを基軸とした老化の基礎研究から応用研究への展開
・パターン認識受容体RAGEの生理作用と病態形成への関与の解明
・国内・国際共同研究の推進による診断法開発や創薬に向けた応用研究
・愛情ホルモン・オキシトシンによる社会性行動と炎症制御作用の分子基盤の解明
研究分野ホームページ:http://biochem2.w3.kanazawa-u.ac.jp/ -
研究概要
マラリアは、ハマダラカが媒介する感染症で発展途上国を中心に年間2億人以上が感染し、その内60万人が亡くなっています。マラリアは治療の困難さに加え、致死率の高さや感染拡大が大きな課題であり、根本的な解決策としてワクチン開発が強く求められています。しかし現在でも有効の高いワクチンは存在しません。
私はマラリア撲滅を目指し、感染防御効果(感染を未然に防ぐ)、伝搬阻止効果(他者への感染も遮断する)の両方を備えた「マルチステージワクチン」の開発に取り組んでいます。
これまでの3年間でマラリア流行地域であるブラジル・マナウスへ渡航し、ワクチンの有効性を評価した結果、感染防御効果100%、伝搬阻止効果95%以上と非常に有望な結果を得ております。現在、実用化に向けて必要不可欠な前臨床試験を進めています。
これらの研究をさらに推進するために寄付のご協力のほど、よろしくお願いいたします。